2013年10月25日

議会活動報告 第45号 2013年10月25日号(9月議会報告)

古谷市長 職員労組と妥協

職員給与削減問題で「地域の元気づくり推進費」0.7億円「流用」

 東日本大震災の復興財源確保に端を発した、本市に対する国の地方交付税減額(2.8億円― 6月議会の時点では、市当局は2.5億円と予想していたが、7月に交付されてみると予想が外れ、2.8億円に増額していた)に、どう対処するかという問題が9月議会で決着しました。本市はこの収入源の穴埋めを、6月議会の時点では、国家公務員の給与削減にならい、その全額を職員の給与の削減によってまかなう方針でした。

 しかし古谷市長はこの方針を転換し、8月に行われた職員労組との交渉の結果、職員給与の削減は2.1億円とし、不足する0.7億円は、本年度新たに国から地方交付税として交付される「地域の元気づくり推進費」を当てる、との決定を下しました。「地域の元気づくり」のために使われるべきお金が、職員給与の削減幅を減らすために使われることになります。

市当局は、「地域の元気づくり推進費」は、「職員給与の財源としても使えるお金である」との解釈を国も認めていると答弁しています。しかし「使える」と「使う」との間には、政治姿勢の大きな違いがあります。私は、このような「流用」は許さないとの立場からこの議案には反対しました。なお職員の給与削減と同時に、三役の給与をそれぞれの任期中、今以上に削減する議案(市長10%から15%、副市長7%から10%、教育長5%から8%)と、議員の報酬を本年度内5%削減する議案も可決されました。

 さて97日、来年1月の市長選挙に高橋徹夫市議が名乗りをあげました。一方、古谷市長は9月議会での議員の質問に対し、出馬についての態度を保留しました。私は今回の職員給与削減の問題とも関連することとして、市長が前回の市長選の前に職員労組と交わした「政策協定」はもうやめるべきであると質問しました。市長の答は「まだそのことを述べる時期ではない」というものでした。古谷市長は政党を含め、他の団体等とは一切「政策協定」なるものは交わしていません。

学習クーポン券制度を導入せよ

 「学校教育の限界」と「教育の負の連鎖」に関する次の一般質問をしました。

 一人の教員が多数の子どもを同時に教える現在の学校教育のやり方には限界がある。全国学力・学習状況調査アンケートによっても、本市の中学生三年生の場合、およそ30%が授業についていけていない現実が読み取れる。これを補っているのが、個別指導・小人数指導をおこなう学習塾の存在だが、その利用は所得水準の影響を受ける。そこで低所得世帯の子どもも学習塾を利用できるように、市がクーポン券を発行したらどうか。1億円の予算で、1千人の子どもに年間100時間の学習を用意できる。

 教育委員会としては、学校の中で子どもの学力向上を図ることに努めたい。

 福祉部ではこの7月から、生活保護受給世帯の中学生37名を対象に「社会的居場所づくり事業」を始めた。高校の受験指導を個別指導でおこなういわば学習塾であるが、15名の参加があり、こうしたニーズが多く存在することがわかった。日々成長する子どもたちのことを考え、学校という枠にとらわれず教育機会を提供すべきであると思うがどうか。

 市長としては、教育委員会の独自性も尊重する中で、子供たちの教育環境向上に努めたい。

意見 こうしている間にも授業についていけない子どもは苦しみつづけ、またその数は増える。政治のリーダシップで即応性のある対策をとるべきだ。

福祉職の処遇改善に補助制度を

 介護・障害福祉・児童福祉(保育)などの福祉職の給与は公定価格です。なぜならこれらの事業を実施する法人の収入は、保険給付・利用料・税金を財源とする補助金等で、公に設定されていますので、その法人収入の一部として福祉職に支払われる給与も、結果として公定ということになるのです。

平成20年度の秦野市の調査では、正規の福祉職の給与実態は平均年収で、介護388万円、障害福祉374万円、児童福祉408万円という結果が出ました。この数字は平成19年度の全職種の労働者(パート等の非正規労働者も含む。国税庁調査)の平均年収437万円に比べて、相当の差があります。月額給与そのものが低額であることと、平均勤続年数が短いことが想定されます。福祉職は対人サービスが仕事ですから、その処遇が悪いことは、福祉の質にかかわってくるおそれがあります。

そこで私は、秦野市が既に持っていながら、実際には使われていない「民間保育所職員給与是正費制度」を活用し、市独自で全福祉職の処遇改善を図ることを提案しました。この制度では、民間の給与を公務員並みに引き上げることをめざしています。私の考えは、市職員の給与を徐々に引き下げ、これによって生み出される財源の一部を使って、民間の福祉職の年収を少しずつ引き上げるというものです。市当局の答弁は検討するとのことでした。

平成24年度決算審査より

・超長期計画と白書作成の必要性

 秦野市には、40年先を見越して、ハコモノ公共施設を30削減しようという「公共施設再配置計画」があるが、同様に40年先の人口動態や高齢化率を前提とした「長期福祉計画」、「長期人事計画」などの必要性を提案。同時にそれらを市民に説明するための「白書」作成の必要性も提案。市当局は検討するとの答弁。

入札執行残金の財政効果

 市長は市財政の健全化すなわち、市債残高の減少、土地開発公社の借入金残高の縮小、財政調整基金(市の貯金)の増加を、あたかも自分の手柄のようにいう。しかし実態は、市のおこなう入札に参加する企業の過当競争の結果、膨大な入札執行残金(予定価格の20~25%)が累積して、市財政が助けられたに過ぎないのではないか。そして一方では、その分市内企業の体力が落ちているのではないかと質問。

そういう面もあるとの市当局の答弁。

・スマートインターチェンジは本当にできるか

新東名高速道路の秦野サービスエリア(戸川・横野両地区に建設予定)にスマートインターチェンジを設置してもらうべく準備しているが、設置個所の選定は政治決着による。政権NO.3の甘利経済再生担当相の地元である厚木市と綾瀬市に持っていかれてしまうのではないかと質問。市長、甘利大臣にお願いしても誘致すると答弁。         

・学校防災計画の策定を急げ

 東日本大震災の教訓を活かし、学校と地域社会が連携してつくる「学校防災計画」策定の遅れを指摘。市当局、これまでのように教育委員会のみの課題とすることなく、防災担当部局も入って策定を急ぐとの答弁。そのために必要な防災担当部局の陣容強化の必要性を再度指摘して要望。

・病後児保育実施に独自の共済制度新設を

 伊勢原、小田原、厚木に続き、平塚市も今年度から病後児保育を始め、やっていないのは秦野市のみとなった。約1千万円の予算がかかるが、ほとんど利用されていない市もある。保育園の利用者による共済制度をつくり、その掛け金で費用の1/2程度をまかなう方法をとり、財政負担の軽減と利用率の向上の一石二鳥を図ったらどうかと質問。検討するとの答弁。

・平和の塔・平和の礎移転新築の問題点

 旧秦野町が終戦直後建設した弘法山の「平和の塔・平和の礎」を移転新築するために2千万円もの費用をかけるのは、他地区との間のバランスを著しく欠く行為である。「英霊」に格差をつけることにならないかと質問。旧秦野町から市が引き継いだ施設が老朽化して危険なので、移転新築するに過ぎないとの答弁。全市の戦没者名を掘り込むなどして、全市のための「平和の塔・平和の礎」にすべきと要望。

・粗大ごみ手数料減額で1千万円の財政効果

 粗大ごみの自己搬入手数料(一個当たり)350円を300円にすれば、自己搬入量が増え、結果として収集量が減り、収集経費の削減により約1千万円の支出減になると指摘。吉村議員の年来の主張でもあり、真剣に検討するとの答弁。

・ジェネリック医薬品普及を妨げるもの

 秦野市では、国民健康保険財政の負担を少しでも軽減するために、ジェネリック(後発)医薬品の使用を推進している。しかし使用率はわずかに20%にとどまっている。この原因としては、医師が処方箋にジェネリック医薬品不可と記載していることが考えられ、この点についての医師会との早急な話し合いが最優先ではないかと質問。早急に取り組みたいとの答弁。

・住宅新築等資金貸付金の回収不能

 同和対策の一環として、およそ40年前に実施された住宅新築等貸付事業(貸付残高約50億円)において、初めて回収不能金1586万円が発生した。その処理に市民の税金が使われることになる。この貸付事業は県がリーダーシップをとって始めた事業であり、県も負担を分担すべきではないかと質問。市当局、他自治体と連携して県に申し入れるとの答弁。

・西部総合職業技術校を防災拠点に

 市役所の隣地に新設された県の西部方面総合職業技術校は、立地が良く、敷地も広く、また建物も頑丈そうなので、震災時などにはぜひ防災拠点になってもらうように交渉すべきと質問。これから協議に入るところとの答弁。


・西中体育館・プール・格技室と西公民館,消防署西分署の統合新築について

 「公共施設再配置計画」のシンボル事業に位置づけられている、この事業のアウトラインを示した調査報告書によると、全ての施設が増床されて新築されることになっており、40年間で30のハコモノ公共施設を縮小する、上記計画と矛盾するように見える。後々、小学校の統合などが控えていることを明確にしておくべきでは、と質問。地域住民等への説明の仕方については、充分検討するとの市当局答弁。

『のぼうの城』のリーダーシップ論

 昨年映画化された、和田竜の作品『のぼうの城』は、秀吉の小田原攻めの際の「武州忍城(おしじょう)水攻め」を題材にしたものです。石田三成率いる二万の大軍に対し、わずか五百の坂東武士が天下に面目をほどこした戦いです。

私はこの作品のテーマは、リーダーシップ論、言いかえると大将の器量とは何かということにあると思います。秀吉の有能な側近官僚である三成に対し、忍城の大将成田長親は、「(でく)のぼう様」と呼ばれる人物ですが、その不思議な器量によって五百の武士をまとめ上げ、また三千の領民の協力も得て、三成の攻勢を二度まではねつけます。中国古代史の「楚の項羽」と「漢の劉邦」の話も有名ですが、優秀有能という評価の者が、必ずしも成功する大将ではないという歴史があります。来年一月の市長選挙を前にして、時代の挑戦に市民を奮い立たせるリーダーシップ論を考えるのも有益と思います。


posted by 吉村慶一 at 00:00| 議会活動報告